ファンサイトに使えないドメイン

ファンサイトがネット上に数え切れないほど存在している。同じアーティストを応援する同好の士が運営しているファンサイトは、ファンの立場から歓迎すべき存在だ。

ファンサイトというからには対象となるアーティストが必ず居るはずだが、今時のアーティストは自分(達)のホームページやブログ・SNS(Facebook・Twitter・Instagramなど)を活用して情報発信するのが普通となっている。そこで問題になるのが、他者から見て本人(達)の物なのか判然としない場合だ。

類似ドメインと商標 – 使ってはいけないドメイン名

インターネットはルールに則って使うもの。やって良い事と、いけない事がある。ドメイン名もその一つで、使えるドメイン名と使ってはいけないドメイン名がある事を知ろう。ここではインターネットの根幹を成すドメインの意味を簡単に説明しながら、有名な名称を使ったドメインを無関係な者が使うことが何故いけないのかを解説する。

インターネットの根幹 ドメインの仕組み

インターネットはコンピュータ同士を繋ぐネットワークである。このネットワーク上の住所に当たるものをIPアドレスといい、コンピュータ同士はIPアドレスを用いて接続されている。しかし、数字の集まりであるIPアドレスで他のコンピュータを探すことは大変なので便宜の為に文字で表すドメイン名を対応させて用いている。

IPアドレス –  対応したドメイン名
183.79.71.173 www.yahoo.co.jp

上記はヤフー・ジャパンのIPアドレスとドメインを対比させたもの。

ドメインの扱いルール

ドメイン名を管理する機関は世界でたったひとつ、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers、アイキャン)というところだ。ドメインの取得には以下のルールがある。

  • ICANNによる管理:実際にドメイン名管理を行うのはレジストラやリセラーという機関(レジストラの例:お名前ドットコム)
  • 先願主義 :ドメインの取得は早い者勝ち
  • 権利期間 :1年単位の更新だが更新料を支払うと10年先まで確保できる
  • whois情報の公開 :whoisサーバーに権利者名と連絡先などが登録され公開される
  • 商標権者優先:商標権を持つものはドメイン登録後からでも正当な権利を主張して取り戻すことが出来る。

ドメインの管理はトップレベルドメイン別となっており、管理に使われる言語が異なる。トップレベルドメインとは、com,net,jp,co,jp等。

ドメイン名紛争とファンサイト

この問題を考えるポイントは、『商標権者はだれか』と『商標は何か』というところだ。

データが入手し易かったBABYMETALを題材に解説する。

事例研究:BABYMETALとファンサイトのドメイン名

ページ末尾に転載しておいたが、現在・株式会社アミューズはBABYMETALを商標出願中である。

商標は先願主義といって早いもの勝ちの制度となっているから、BABYMETAL(ベビーメタル)は株式会社アミューズ以外は取得できない。
つまり、『BABYMETAL』及び『ベビーメタル』と『例のロゴ画像のデザイン』はアミューズの許可が無ければ使えなくなる訳だ。
※BABYMETALのファンサイトDEATH、というように単に呼称として使用する分には問題無い。

それにしても、デビュー後4年も経ってからの出願とは一般企業では考えられないほど遅すぎる。この担当者が始末書で済めば儲けものだ。商標を他人に取得されたら大変なことになるから、普通は公開前(デビュー前)に商標出願しておくもんだよ。

ここでは日本での商標登録について解説しているので海外ドメインは含まれないのでは?と考える方も居るだろう。ドメインについての国際的な取り決めで、正当な権利者が優先する事になっている。BABYMETALは造語なので、株式会社アミューズ以外が(以前から使用していた等と)権利を主張することは難しいだろう。

使って良いドメイン名とアウトなドメイン名

どの様なドメイン名ならOKなのか線引きしてみた。

まず、babymetal又はベビーメタル+トップレベルドメインの組み合わせの場合、アミューズにドメイン紛争に持ち込まれたら100%勝てない。因みに、取得だけで使用していなくても問題になる。

念のために言って置くが、権利を侵害したとしても訴えられるかどうかは『株式会社アミューズのみぞ知るところ』の話になる。

BABYMETALオフィシャルサイトのドメイン名

babymetal.com
babymetal.jp

実際にファンサイトが使用しているドメイン名(事例紹介なので全てを調べては居ない)

【出願中の商標に類似したもの】

babymetal.me (類似)
babymetal.club (類似)
babymetal.net (類似)
ベビーメタル.com (類似)

【問題にならないと考えられる使用法の例】

babymetalfanclub.com (非類似)
babymetal-bio.com (ハイフンを挟んでbabymetal+***となるため微妙)
babymetalmusic.com (非類似)
babymetalmatome.com (非類似)

babymetal.hateblo.jp (サブドメイン)
babymetal.lrv.jp (サブドメイン)

新たにドメインを取得する際、BABYMETAL(ベビーメタル)のみで取得しないようご注意下さい

ドメイン名紛争の解決方法

先に取得されたドメインの使用に不服のある者は、ICANN(com,net,info,bizなど)やJPRS(jp)に解決を求めることが出来 る。

統一ドメイン名の紛争解決ポリシー(com,net,info,bizなど)
JPドメイン名紛争処理方針 (jp)

おまけ:訴えられるとどうなる?

当サイトはファンサイトなので詳しく述べないが、ドメイン権利者の正当性が争われたときに使用言語が問題となることを 書いておく。(例:com,net,infoは英語でjpは日本語の文書で争うことになる)

実をいうと自身や顧客が訴えられた経験は何度もある。普通は分厚い英文の書類が送りつけられて訴えられたことを知る。問題はその文書で、細かい文字で難しい英文がびっしり書かれていてビビる。抗弁するには、反論の根拠だけでなく英文法律文書をどうにかする技量が必要で・・というわけ。

資料 外部サイト:ドメイン名と商標権との抵触問題について

有名人SNS なりすまし問題

SNSはドメイン名の問題ではなく、アカウント名の問題になる。Facebookで、過去にCoca-Colaのファンが作成したFacebookがコカコーラ社へ譲渡された事例も発生した。この事例では真っ当なファンページだったので損害賠償請求も無く円満に解決された。

『なりすまし』とは無関係の人が有名人のアカウントを騙って(かたって)情報発信するもので、時に不都合な情報が拡散してしまうので大問題を起こすことがある。これを防ぐには公式アカウントを作成するなりして正当性を主張すると共に、類似アカウントや成りすましアカウントを発見した際に毅然とした対応を早めに取ることで対処するしかない。

株式会社アミューズによる商標出願 (公開情報:特許庁データベースより)

注:BABYMETALとその呼称(ベビーメタル)及び例のロゴ画像が対象となっている。

(210) 【出願番号】 商願2014-82943
(220) 【出願日】 平成26年(2014)10月1日
【先願権発生日】 平成26年(2014)10月1日
【最終処分日】
【最終処分種別】
【出願種別】

【商標(検索用)】 §BABY\METAL
(541) 【標準文字商標】
(561) 【称呼(参考情報)】 ベビーメタル
(531) 【ウィーン図形分類】 2.9.1.2; 2.9.23; 3.7.17; 26.4.2; 26.4.4; 26.4.8; 26.4.9; 26.4.12; 26.4.14; 26.4.15; 26.4.16; 26.13.25; 27.5.1.2; 27.5.1.12; 27.5.1.13; 27.5.4; 27.5.8; 27.5.23.92; 27.5.23.94

※この後に細かい区分が大量に続くのだが割愛。興味がある方は上にあるリンクから特許庁データベースを閲覧していただきたい。