武藤 彩未 A.Y.M. Live Collection 2014 ~進化~ ディスクレビュー (2/2)

「A.Y.M. SUMMER TRIAL LIVE」 2014.8.1 (DISC 2)

A.Y.M. SUMMER TRIAL LIVEキーボードとドラムスの伴奏で歌うステージ。武藤の育ちの良いお嬢様然とした佇まいに高クオリティーの伴奏が相まって、小さな会場では勿体無い程の煌めきがある。
会いに行けるアイドルと真逆な存在として良い方向性だと思う。

これはホテルのディナーショーでやるステージだ。しかしディナーショーは名の売れた歌手がするものだから、無名のままでは高額チケットを買ってくれる客を呼べない。とはいえ、このタイプのライヴは武藤 彩未の良い面を生かせる。もしも一回でもブレイクできれば将来は安泰だろう。

1.時間というWonderland

これは良い。声質とリズム感がこの曲にピッタリ合い、流れるようなメロディーと歌声が同化しているようだ。アコースティック伴奏の時は酷評したが、あれは武藤にミスマッチだったという事だろう。

2.交響曲第1番変ロ長調

スピードのある曲でビジュアルを含めキラキラ感が満載。この様にメロディアス&アップテンポの曲が生きいきと歌える。どんどん歌っていた方が武藤の可愛らしさを活かせる。

MC 演奏者紹介とライブハウス良いねーという話。

冒頭の掴みが良かっただけに、流れを切ってしまったのは勿体無い。ブレイクタイムを取らず一気に畳み掛けるべきだったのではないか。

3.女神のサジェスション

どうしたんだろう。アコースティック伴奏の前回とは別人のステージを見ている印象がある。キーボード奏者のスキルの高さが武藤の歌声に力を与えている。

4.風のしっぽ

心を込めて歌えるようになった。これが進化という事か。この様に大人しい歌が武藤に一番合っていると思う。

5.とうめいしょうじょ

綺麗に歌えているので、これはこれで良い。しかし声を伸ばすところで急激に細くなってしまうので、この曲を大会場で歌う場合は伴奏にかき消されてしまうだろう。

6.桜ロマンス

発声が綺麗になり美しく歌えるようになったし、この曲に必要とされる声の伸びもある。あと、振りというか演技も出来るようになった所が良い。真剣にやっているのが客に見えてしまう点も改善できると更に良いと思う。

MC 「殻を破れている気がする」との話から彩美エクササイズで客を煽る展開へ。

武藤彩美の見せる、客との駆け引きのような舞台度胸は大したものだ。

7.RUN RUN RUN

タオルを振りながら客席と一緒に盛り上がるキラーチューン。武藤彩美の持てる能力を総動員したパフォーマンスで、これが受けなかったら後がないという必殺の一撃となっている。

8.Seventeen

可愛さを振りまきながら一気呵成に歌いきってしまう曲。今だから歌えるものだ。

9.A.Y.M.

前にも言ったが歌う際の演技が上達している。上出来のステージだが、伴奏のクオリティーに助けられている面は確実にある。

10.宙

パイプオルガンのような伴奏から始まるバラードで、綺麗な声が雰囲気良く会場に広がっていた。

11.明日の風

今の武藤彩美の能力に合った、スローでソフトなバラード。上手くまとまっている。

アンコール

MC ライブが大好きで歌えることが幸せと話す。

12.永遠と瞬間

いい感じの歌唱で褒めるべきなんだろうが、伴奏の助けがあってのものだと分かってしまう歌唱力。常にこの伴奏が伴うのならば100点でいい。

13.彩の夏

松田聖子の様な雰囲気だが、声の伸びと迫力が絶対的に不足しているので雰囲気だけに留まってしまった。松田聖子が大声なら武藤彩美は小声といえるくらい差がある。

Wアンコール

14.Seventeen

こういう楽しいだけの歌が一番合っているようだ。声も安定していて上手く歌えている。

特典映像

RUN RUN RUN

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014でのステージ。近頃はアイドルのロックフェスティバル出演も珍しくなくなった。

武藤彩美はビジュアルに優れているうえステージングが優秀なので掴みが強力だ。こういった現場で新規ファンを獲得してゆく方法は理に適っている。

END


「A.Y.M. SUMMER TRIAL LIVE」 2014.8.1 (DISC 2)の評価

ビジュアル 100点

衣装も含め、武藤 彩未の見栄えには文句の付けようが無い。背が低いのとポッチャリしているのは欠点ではない。ダンスも可愛くキメられるようになったので、好感度は益々向上している。

歌唱力 80点

このDVDは8月に行われたライヴでの録音。編集が入っているかもしれないので確かとは言い切れないが6月に比較すると確実に歌唱力が向上していた。今回視聴した8月のライヴで見せた歌唱は、6月のアコースティック伴奏時よりも断然良い。テンポを落として歌い上げるタイプの曲が彼女に合わなかったのだろう。

キーボードとドラムスで構成された今回の伴奏は優秀で、特にキーボードは打ち込みしてあり重厚な音の壁を作り出していた。どの曲も盛り上がっていたが、伴奏により大いに助けられた面は否定できないだろう。

同じ歌い手がアコースティック伴奏では精彩を欠いたステージになっていたのは、その時の伴奏の責任ではなく歌う力が不足しているからだ。

表現力 75点

歌う際の演技が上手にできるようになった点は特筆すべきで、これにより表現力が格段に向上した。

笑顔で感情の移り変わりを表現できない点は相変わらず。周囲がこの欠点に気付かない筈は無いので、改善されないのは方法が誤っているからだ。


「A.Y.M. Ballads」 2014.6.10 (DISC 1)

お勧め度:★★☆☆☆

「A.Y.M. SUMMER TRIAL LIVE」 2014.8.1 (DISC 2)

お勧め度:★★★★☆

今回購入した武藤 彩未のディスク

DVD 「A.Y.M. Live Collection 2014 ~進化~」  7,800円(2枚組・税抜)

お買得度:★★★☆☆


壁を越えられるか

武藤彩美は努力家で、今は無理でも次には改善する事が出来る。だから歌手を何年か続けてゆく事でそれなりのパフォーマンスを身に着けられるだろう。歌い手としての適性がテンポが遅すぎないソフトな曲に限られる現在の武藤彩美。今後の努力で克服することが出来るか真価が問われる。

今回のライヴは小さな会場で行われた。来客は可憐Girl’s・さくら学院からのファンだろう、大変熱心に応援していた。あと若い女性客も目立ったが、Twitterのスレッドから事務所関係の人達かと思う。

これらはコアなファンで呼ばずとも来てくれる人だ。武藤彩美のステージは金がかかっているから少数の観客では採算が取れないのではないか。メディア販売を含め何時までも赤字事業を続けられないので、どれだけ新規ファンを増やせるかが彼女の将来を決定づけるだろう。

DNA1980?

武藤 彩未の歌のレッスン歴は分からないけれど、どの曲も無難に歌える歌唱力はある。しかし、プロ歌手として特筆するような長所が無いし、優れた表現力を持つわけでもないから聴く者をして感動させるだけの歌唱は望むべくも無い。

「アイドルだからしょうがないんじゃ?」という声も聞こえそうだが、DNA1980とやらが目指している80年代アイドル達は歌が上手かった。ちゃんと歌えた上で個性を競っていたのが80年代アイドルだったといえる。

武藤 彩未は80年代アイドルを現代に再現しようとしているようだ。楽曲はクオリティーが高いのでファンに受け入れられる力はある。しかし歌い手の力量は心許なく、数え切れないほどアイドルがひしめく現代にファン層を拡大してゆくことは困難だろう。

アミューズは武藤 彩未を買いかぶり過ぎては居まいか? 大ブレイクした可憐Girl’sで最も注目を浴びていたのは武藤ではなかったし、さくら学院であらゆる機会に武藤をプッシュしたのに人気に火が付かなかったではないか。

マスコミで絶賛されていた、このアルバムのタイトルは「進化」だ。「歌唱力が上がってないなぁ」というのが筆者の第一印象で、表情による感情表現の欠如も改善されていなかった。一体どこが進化したのだろうか?伴奏ですかな。

前作を含めれば通算40曲を聴いたことになる。武藤 彩未はこのご時勢にソロのアイドルとしてデビューした。当然、運営側にすれば勝算あっての事だろうが、ファンの立場から見るとソロでやっていけるだけの力量を持つとは思えないし早くも限界が見えた感じだ。

  • これといった特長が見当たらない
  • 今一歩から向上しない歌唱力
  • フリはできる程度のダンス
  • 表情による感情表現に乏しい

上記が歌手としてみた場合の武藤 彩未に不足しているものなので可能ならば改善したいところ。

トークは凄く上手いからライブでも場をもたせることは出来るのでウケていると錯覚しがち。しかし毎回微妙な歌ではファンも付き合い切れないから次第に動員は減少してゆくはずだ。

大きなお世話だがビジネスとしてみても厳しそうだ。武藤 彩未のステージは金が掛かっていて、あの箱の客数では毎回赤字だろう。CD/DVDの販売も思った程ではない様だし、まだ人気も出ていないのに次々と音源が発売されるからコアなファン以外はついていけない。

かくいう筆者もこのDVDを発売日に買わず半月後にオークションで購入した。売主の提示価格は定価の半額以下と安価なのに一週間のオークション期間中に入札したのは僅かに一人、筆者だけだった。

最後に武藤 彩未を取り上げたリアルサウンドの記事を紹介し、この項を終わりにする。
宗像明将の武藤彩未ライヴDVDレビュー

映像から性格の良さが伝わってくる良い子だが、ソロ歌手は彼女の能力をフルに発揮できる場ではないと思う。武藤 彩未は周囲の期待を自身の目的に投射してはいないだろうか・・。


筆者が表情によるコミュニケーションに拘っている事が不思議かもしれないが、表情が重要なコミュニケーション手段であるのは心理学の常識である。

下の動画で表情と感情表現が繋がっていることを分かってもらえるだろうか。このように「笑いながら声だけ怒っても伝わらない」のが社会のステレオタイプなのだから、悲哀を含んだ歌詞を武藤 彩未のように笑顔で歌っても伝わらないのである。